エビデンスは確立できるか?「科学的介護」導入への動き


政府が推進する「科学的介護」。安部総理は「どのような状態のときにどのような支援をすれば自立につながるのかを明らかにする。効果のある取り組みについては介護報酬で評価する仕組みを作る」と明言しています。2018年度の介護保険改定で開始し、その次の2021年度改定からは科学的介護に基づいて、インセンティブありきの介護サービスとしていく考えです。

エビデンス(科学的な根拠)を確立させるためには、まずは大規模な情報収集が必要となります。厚生労働省はそのためのデータベースを整備していくとしています。

 

どんなデータを集めていくのか

ビッグデータを構築していくためにどんなデータを集めていくか、検討が進んでいます。現時点では、

 

・利用者の状態の詳細

・実際に提供されたサービスの詳しい内容

・入退院や転倒、肺炎の罹患など、身体面に関わる大きな変化

 

などが挙げられています。このうち、特に難しいと考えられるのが「利用者の状態の詳細」と考えられます。要介護認定の際の調査項目は、ケアマネジャーで判断できるように簡略化されています。リハビリテーションの場面で理学療法士などの専門職が行う身体機能の評価と比べると、情報量の不足は否めません。詳細をどこまで把握できるかがポイントとなります。

 

 

自立の定義が必要

動作能力を評価する指標では、「自立」とは「自分一人でその動作を問題なく安全に行うことができる」という意味となります。例えば排泄や入浴の動作について、自立である人が増えれば、介護の負担は大きく軽減します。介護度が改善することでサービスの単価も下がり、介護保険の支出軽減に効果が見込まれています。

一方で、生活全般が自立している、という表現の場合には、少し意味合いが違ってきます。ケアプランが目指すものとしても挙げられる「その人らしい生活」が自立した生活であると考えられます。「自分らしさ」は、ひとりひとりの考え方で全く違ってきます。「人に迷惑をかけたくない」という人もいれば、「しんどいから手伝ってもらうのがいい」という人もいるはずです。

介護保険は、利用する人にも努力することを求めています。しかし自分の力で生活していくことを強制されるというのは「その人らしさ」を奪うことになってしまうかもしれません。

 

まとめ

今の介護保険制度は、要介護度に基づいて利用料金が決まっています。介護度が軽くなると、利用している施設では収入が減ってしまう仕組みです。この仕組みでは、自立支援に積極的に取り組みづらくなってしまいます。サービスを受ける側と提供する側が一緒にがんばったことで、お互いにメリットが得られる仕組みになっていくことを期待しましょう。